【まちれぽ新座】/Monthly JAZZ Selection Vol.16 クリスマス・ジャズ特集


TOP > Monthly Jazz Selection > Monthly Jazz Vol.16

ジャズ喫茶BUNCA

ジャズ喫茶BUNCA

とっておきの1曲でMerry Christmas!クリスマス・ジャズ特集

Tony Bennett(1926〜)/ Swingin’ Christmas(2008)

【曲 目】
①I'll Be Home For Christmas ②Silver Bells ③All I Want For Christmas Is You
④My Favorite Things ⑤Christmas Time Is Here ⑥Winter Wonderland
⑦Have Yourself A Merry Little Christmas ⑧Santa Claus is Coming to Town
⑨I've Got My Love To Keep Me Warm duet with Antonia ⑩The Christmas Waltz
⑪O Christmas Tree

 もう今年も終わりですね。本当に一年の経つのは早いものです。
今回は私のお気に入りのクリスマスアルバムを紹介します。

 トップバッターは、今年レディー・ガガとの意外な共演で話題を呼んだ、トニー・ベネット。なんと御年88歳!ガガとのライブ映像を見ましたが、相変わらずのつややかな声、圧倒的な歌唱力は健在でした。そして、なにより、ここぞという時の盛り上げ方は、鳥肌が立つほど。きっと生粋のエンターティナーなのでしょう。そんなトニーのバックは、偉大なるビッグバンドリーダー・ピアニストの名を冠するカウント・ベイシー・オーケストラ。しかも、ベイシーのピアノの席に座るのは、ジャマイカ生まれのハッピーな演奏が素晴らしいモンティ・アレキサンダーという最強の布陣。悪いわけがありません。しょっぱなから、炸裂するホーン隊、スインギーなピアノに乗って、大空に羽ばたくようなトニーの歌いっぷりにノックダウンされます。また、近年のトニーの持ち味でもあるバラードの素晴らしさも特筆すべきです。私の大好きな“Have Yourself A Merry Christmas”は、安らぎの中にほのかに悲哀のにじむ、語りかけるような歌が心に染みます。まるで、自らの波乱万丈の人生を物語っているかの様。

 続いてはソロピアノ。2年前に92歳で亡くなったデイブ・ブルーベックの96年作です。テレビドラマのテーマ曲にもなった「テイク・ファイブ」の演奏で有名な方です。ラグタイムやブギウギの味付けも感じさせる古めのスタイルによる演奏で、アレンジもシンプルな、素直で聴きやすいアルバムです。それだけに、最初に聴いたときは地味であまりいい印象がなかったのですが、その素朴な味わいがじわじわと好きになりました。ピアノの響きの中に、物語を感じるのです。鐘の響きや鈴の音、雪が静かに積もる様子、肌に感じる冬の澄んだ空気、あたたかな暖炉のようなぬくもり…柔らかな和音の向こうから、そんな光景や感覚が伝わってきます。

クリスマスでなくても、冬の夜に独り静かに聴いていると、ほっとした気分になるのでお勧めしたいです。深い森に星の灯るツリーを描いたジャケットも素敵。

 やはり紹介しておきたいのは、鉄板ピアノトリオ作、エディー・ヒギンズの「クリスマス・ソングス」です。2004年作ですが、ピアノもので何か一枚と言われたら、迷わずこれをお勧めします。もう彼も亡くなってしまいましたが、一度だけライブに行ったことがあります。人懐っこい笑顔、粒立ちよくコロコロと転がるような音色で、軽快にスイングする演奏が印象的でした。ここではその持ち味を十二分に発揮し、実に雰囲気のある楽しげなクリスマスアルバムに仕上がっています。今は続編の「クリスマスソングスⅡ」との2 in 1のアルバムが入手しやすいようです。Ⅱも負けず劣らぬ名作です。

 最後に飛び道具を。フリージャズというジャンルがあります。ひたすら、でかくてうるさい音を撒き散らす、というとファンには怒られそうですが、そのイメージでほぼ間違いない「人に優しくない」ジャズです。その総統ともいえるジョン・ゾーンが、いずれ劣らぬ強烈なメンバーを集めて、なんと、クリスマスアルバムを作りました。元々激しい演奏をするだけの高度な技能を持った凄腕揃いなので、難しいこともサラっとこなしつつ、皆が心から楽しんで演奏しているのが伝わってきます。チャーミングで雰囲気も最高にあたたかです。特に「サンタが街にやってくる」での、途中から超高速でスイングするピアノトリオの演奏は、歴代のどの演奏よりもカッコイイので、ぜひ聴いていただきたいです。ところどころ、持ち前の凶暴さが出そうになりますが、最後までなんとか平穏に終わります。

 それでは皆さん、素敵なクリスマス、そして年末年始をお過ごし下さい。また来年お目にかかれることを楽しみしています!

(文:S. Nakamori)

まだまだおススメ!ジャズ・クリスマスアルバム

Dave Brubeck
Christmas
(1996)

クリスマスの真夜中に
ゆったり聴きたいピアノソロ作品

Eddie Higgins
Christmas Songs
(2010)

迷ったらコレ!
王道スイング系ピアノトリオ

John Zorn
Dreamers Christmas
(2011

ジャケもかわいい!強面おじさんたちが
響宴するチャーミングなクリスマス

ジャズ喫茶BUNCA

ジャズ喫茶BUNCA

新座市まちれぽ新座

ご感想・応援メッセージ 受付中!新座市BUNCA
このコーナー(コラム)に対するご感想やご意見・ご要望、執筆者への応援メッセージ、リクエストなど
どしどしお寄せください。いただいたコメントは掲示板で紹介してまいります。

広告